整体師という仕事をしていると、お客様から「からだが固いのですが・・・」というお悩みをよくうかがいます。
この「からだが固い」の中でも大多数を占めるのは「前屈ができない」というものです。
かく言う私も小さい頃からからだが固く、つま先に手が届かない子供でした (^^;)
前屈とは、立位(注)あるいは長座の状態から股関節を曲げて、上体を前に倒す動作を言います。
その主な目的は股関節の柔軟性を高めること、言い換えると股関節まわりの筋肉のストレッチです。
前屈をする際、人によっては太ももやふくらはぎの裏側が痛くて股関節がそれ以上曲げられなくなることがあります。
これが「前屈ができない」状態です。
これは太ももの裏側の筋肉群(ハムストリングス)の柔軟性が低いことが主な原因なのですが、実はもうひとつ大きな要因があります。
それは、膝を伸ばしていることです。
ハムストリングスは股関節と膝関節の二つの関節を動かす役割があります。
具体的には
・股関節を伸ばす
・膝関節を曲げる
の二つです。
ハムストリングスが収縮することで股関節が伸びる、または膝関節が曲がると言うことは、逆に言うと股関節を曲げる、あるいは膝関節を伸ばすことでハムストリングスにストレッチをかけることになります。
前屈という動作は多くの場合、膝を伸ばした状態から股関節を曲げます。
つまり膝関節でハムストリングスにストレッチをかけているところに、さらに股関節からストレッチをかけることになるのです。
ハムストリングスの柔軟性が低い方の場合、股関節をある程度曲げたところでストレッチが限界になり痛みが出るため、それ以上曲げることができなくなります。
では股関節を深く曲げるにはどうすればいいのでしょう?
答えは単純明快。
膝を曲げればいいのです。
スポーツテストの体前屈は柔軟性の測定が目的なので、膝を伸ばした状態で行います。
そのため「前屈=膝を伸ばす」と思いがちですが、前に書いたように前屈とは股関節まわりの筋肉のストレッチが目的です。
なので、伸ばした膝が股関節を曲げることを阻害するのであれば曲げてしまえばいいのです。
初めは膝を90度くらい曲げてもかまいません。
お腹や胸が太ももに着くくらいしっかり股関節を曲げてみてください。
楽にできるようになったら徐々に膝の角度を広げていきましょう!
(注)
立位の体前屈は、かつては柔軟性の測定法として主流でしたが、
・測定台への昇降時や前屈時に転倒や落下の危険がある。
・頭を下げた状態で測定を行うため、高齢者や血管系の疾患がある人にはリスクが伴う。
などの理由から、現在では長座体前屈が主流になっているそうです。
この記事内でも座った状態での前屈を紹介しています。
Comments