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執筆者の写真musubi.toshiyuki

一本歯下駄

「これ、履けるんですか?」


初めて一本歯下駄を見たお客様の言葉です。


天狗や山伏が履くもの、というイメージを持たれる方が多いと思われるこの一本歯下駄ですが、意外に愛好家が多いんです。(私もそのひとりです。)


スポーツ界ではスピードスケートの小平奈緒選手がトレーニングに使用(*)したことで話題になった他、最近では格闘家やJリーガーの間で利用者が増えていると言う話をよく耳にします。


こうした一本歯下駄をトレーニングに取り入れているアスリートのコメントや、そのアスリートを取材する記事などでよく見られるフレーズがあります。


「体幹が鍛えられる」


シューズと比べて明らかに不安定な下駄を履いてバランスをとるために、普段使われていない体幹の筋肉(インナーマッスル)が動員されるので「鍛えられる」、という意味合いで語られています。

これは、常日頃から鍛えている筋肉(アウターマッスル)に加えてインナーマッスルを使えるようにするという、言わば足し算の発想からきています。

肉体、特に筋肉を鍛え上げることを是とするアスリートの思考からすると極々自然な発想です。


ただ、そこに身体操法的な視点から、もう一歩踏み込んでもらいたいポイントがあります。

それは「脱力」です。

インナーマッスルを使えるようにすると同時に、その結果使わなくても済むようになったアウターマッスルは積極的に力を抜く、という引き算の発想。

つまり「余計な力み」を抜いて必要最小限の力で楽に立つ、ということです。


では、具体的にどのようにすれば良いのか。


実はこのブログで何度もご紹介している「足裏を着けて立つ」ことに他ならないのです。

足裏の3点でしっかりと立てているとき、その足にかかる荷重の重心は3点の中央にあります。

一本歯下駄を履いて立つとき、その重心が歯の真上に来るように立てれば余計な力を使う必要はなくなり「力み」の抜けた立ち方ができます。



ただ「言うは易し」で、実際にはそう単純ではありません。

というのも、人間の身体の重心というのは常に移動しているからです。

なので、重心を一本歯の上に置き続けるためには常に微調整が必要になってきます。


重心の移動を感じ取り修正のための微調整を行う。

これを繰り返すことで「体感を鍛える」。


これこそが一本歯下駄を履くことの最も重要なポイントである、というのが私の考えであり、同時に一本歯下駄を愛好し、かつ推奨する理由でもあるのです。



(*)小平選手が使用した一本歯下駄は足半タイプの特殊なものです。

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