前回は寝つきについて、姿勢からのアプローチをご紹介しました。
今回は内面から見てみようと思います。
床に入ってもなかなか寝られない時、よくあるのが、
「寝ようとしてるんだけど、ついつい頭の中であれこれ考えてしまう。」
「何も考えないようにしようとするけど上手くいかない。」
というパターンではないでしょうか?
「思考」が優位に立って眠れない時は、思い切って「感覚」に意識を振ってみるのもひとつの手です。
ブルース・リーも言っています。
“Don’t think! Feel.” と。
感じ取る対象はズバリ「身体」です。
例えば、呼吸。
軽く息を吸った後、ゆっくりと、長く、息を吐きます。
横隔膜が引き上がり、お腹が引っ込む時の感覚。
息を吐き切ったら、ゆっくりと鼻から息を吸います。
空気が鼻腔から気管を通り、肺が膨らんでゆく感覚。
横隔膜が下がって、お腹が突き出される感覚。
これらをじっくり感じ取ってみましょう。
「〇〇な感じ」と言語化する必要はありません。
鼻の感覚、胸の感覚、お腹の感覚。
これらをそのまんま、ただひたすらに味わってみてください。
これだけでも十分、身体の感覚にひたれると思いますが、
もう一つ、私のお気に入りの技をご紹介しましょう。
まず、頭の中にピンポン玉大の赤い玉がある、とイメージします。
位置は両目の間と後頭部の中間です。
次に、その玉が身体の中をゆっくりと移動するのをイメージします。
喉を通り、背骨に沿って臍の高さまで下ろしてゆきましょう。
後は呼吸の時のように、その玉のまわりの感覚をじっくり味わってみてください。
脈動を感じるかもしれません。
腸の動きがあるかもしれません。
暖かかったり、冷たかったり、
固かったり、柔らかかったりするかもしれません。
それらを、あれこれ判断せずに、そのまま感じ取ります。
お腹だけでなく、身体中の好きなところに玉を移動させて、同じように感じ取ってみてください。
私たちは普段、余りにも思考に偏り、身体の声に無頓着に過ごしています。
チャップリンは映画『独裁者』(原題:The Great Dictator)の中でこう言っています。
“We think too much and feel too little.”
せめて床についた時に、身体の声に意識を向けて感覚そのものに浸ってみてください。
いつしか思考していたことも忘れて眠りについているかもしれませんよ。
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